近年、省エネルギーを実現するパワーエレクトロニクス技術が注目されています。特に、電力消費の大部分を占める、家電分野や産業分野でのモータドライブシステムの高効率化は非常に重要です。一方で、省エネ製品普及のためにコスト低減も重要な課題です。
当社は、位置センサレス制御や電流センサレス技術など高性能と低コストを実現する高度なモータ制御技術をご提供いたします。また、回路技術や組み込みソフトウェア技術により、パワーエレクトロニクスのトータルソリューションがご提供可能です。
当社保有のモータ制御技術と特徴
1. ブラシレスモータ(PMSM)の位置センサレス制御(正弦波駆動)
- コスト低減、信頼性向上、高速モータ駆動
- エアコン用圧縮機駆動インバータで多くの実績あり
2. 電流センサレス制御(1シャント、3シャント)
- 小型化、低コスト化
- 特に家電などの用途で広く適用可能
3. パラメータ測定技術
- モータ定数測定ツールを独自に開発(システム毎の調整を大幅に効率化)
- デッドタイム補償パターン測定可能
4. 組み込みソフト、回路技術との融合
- システム実現に最適なマイコンをご提案し、コスト低減を実現
- 回路技術とのマッチングにより、小型化、コスト低減が可能
- 自社開発のリアルタイムRAMモニタ “AWatcher” (8/16/32ビットMCU対応)で開発効率/精度を向上
位置センサレス制御技術
一般的なモータドライバ構成
ブラシレスモータ(永久磁石同期モータ:PMSM)の正弦波駆動では、回転子位置の検出が必要なため、ホールIC、エンコーダ、レゾルバなどの高価なセンサを使用する。
× コストUP
× 信頼性低下(ノイズ)
× 使用条件/環境によっては使用することができない
・コンプレッサ用途…高温環境に耐えるセンサが必要
・高速回転用途…回転数がセンサの性能で左右される
× 信頼性低下(ノイズ)
× 使用条件/環境によっては使用することができない
・コンプレッサ用途…高温環境に耐えるセンサが必要
・高速回転用途…回転数がセンサの性能で左右される
位置センサレス制御技術による改善
- モータの電流、電圧から位置・速度を推定する制御アルゴリズム(ソフトウェア)を開発。
- 年間500万セットのエアコン用コンプレッサドライバに採用され現在も量産されています。
- 産業用、車載用モータコントローラとして多くの採用実績があります。
電流センサレス制御技術
一般的な電流検出回路
- 一般的なブラシレスDCモータ(永久磁石同期モータ :PMSM)の正弦波駆動(ベクトル制御)では、電流フィードバックが必須となります。
- 通常は、電流センサにはホール素子を用いた高価なものが2個使用されます。
× コストUP(家電製品ではNG)
× 低価格品は応答速度が悪い
× 低価格品は応答速度が悪い
電流センサレスアルゴリズム
- 直流のシャント抵抗電圧から交流電流を再現する電流センサレスアルゴリズムを開発しました。
- 高度なソフトウェア技術、PWM生成ロジックのノウハウを使用しています。高価な電流センサは不要です。
パラメータ測定技術
- 高度なモータ制御を実現するためには、モータ定数の測定が欠かせません。特にIPMSMの位置センサレス制御では、d軸/q軸インダクタンスの電流飽和特性を正確に測定することが重要です。
- インバータデッドタイム/ON電圧のオフラインでの測定も低速域での制御性能を確保するために重要です。
- モータ定数を自動的に測定するPCソフト/計測用インバータを独自に開発。約400種類以上のコンプレッサモータの位置センサレス制御定数測定に使用しています。
- デッドタイム/ON電圧補償を測定するソフトウェアロジックをご提供可能です。
組み込みソフト/回路技術
パワーエレクトロニクス機器の設計は幅広い技術が必要です。
当社はそのほとんどの技術を自社内で保有しています。
組み込みソフトで工数のかかる部分をご提供/ご提案
MCU周辺I/Oライブラリ
MCUのI/O周辺設定関数
- 3相PWM出力関数
- PWM周波数設定関数
- デッドタイム設定関数
- AD変換関数 等
算術演算ライブラリ
MCUのパフォーマンスに合わせた算術関数
- sin関数,cos関数
- atan関数,sqrt関数
- リミット関数 等
モータ制御関数ライブラリ
- 空間ベクトル変調関数
- 2相変調関数等
デバック/評価ツール
パワーエレクトロ開発には欠かせない開発ツールもご用意。
- MCU内部変数の波形表示も可能なリアルタイムRAMモニタ“AWatcher II”
- 通信コマンド検証ツール